題名:腸内のお花畑を可憐にお手入れする方法
報告者:エゲンスキー
近年、腸内菌叢が見直されてきている。腸内菌叢とは、報告書のNo.370でも記述されているように、腸内にいる菌が共生し一つの生態系をなしていることを示すが、別名、腸内フローラ(フローラ:flora(英語)、お花畑)とも呼ばれ、理想的なフローラの状態は、善玉菌2割:悪玉菌1割:日和見菌7割とされる1)。通常は、善玉菌と悪玉菌が生存競争を繰り広げ、腸内で腸内細菌同士が常に陣取り合戦をしている1)。しかしながら、これが様々な原因でもって、バランスが崩れ、悪玉菌優勢になると、腸内環境が悪化し体調が崩れる。その要因に、文献2),3),4)からによると、体調・食生活・年齢・ストレス・薬(抗生物質など)の服用などがある。結果として腸内環境の悪化を放っておくと、腐敗産物の増加などがおこり、大腸の病気になるリスクが高まると同時に、おなかの不調を引き起こす。また、おなかの不調だけに留まらず、体全体にも影響を及ぼし、即分かるところでは、肌は腸の鏡とも言われるように、肌荒れを起こす。アレルギーにも関与する。このことから、ヒトと腸内細菌はギブ&テイクの共生関係にあり、ヒトの全身の健康維持に貢献している3)ことが分かる。腸内のお花畑(図)といえども、そのお花畑のお手入れを怠ると、恐ろしいことを招く。町内のお花畑をお手入れするだけでなく、腸内のお花畑もお手入れすることも、一個人として重要なお手入れになるに違いない。
一方、肥満や痩せの体質についても、この腸内フローラが多大な役割を担っている。アメリカのワシントン大学(現在は、カリフォルニア大学)のPeter J. Turnbaugh博士ら5)は、腸内フローラの代謝能力を調べるために、肥満の人のフローラをマウスに移植する一方、痩せの人のフローラも移植して、マウスの肥満vs痩せの経過を追った。その結果、肥満の人のフローラを痩せたマウスに移植すると、マウスが急激に太り、反対に、痩せた人の腸内細菌を移植すると、そのマウスも痩せたことが発見された。この結果から、腸内フローラは、肥満の病態生理学に対する寄与因子としても同定されている。
それでは、どのように可憐にお手入れをすべきなのか?
図 腸内の可憐なお花畑4)
文献6)によると、腸内の善玉菌の割合を増やす方法には、ヨーグルト・乳酸菌飲料・納豆・漬物など、ビフィズス菌や乳酸菌を含む食品を直接摂取する方法があり、この場合は、毎日続けて摂取し、仮に、善玉菌が死んでしまっても善玉菌の体をつくる成分にも有効な生理機能が期待できるとされる。次に、オリゴ糖(大豆・たまねぎ・ごぼう・ねぎ・にんにく・アスパラガス・バナナなどの食品にも多く含まれる)や食物繊維を摂取する方法、例えば、野菜類・果物類・豆類などに多く摂取し、善玉菌の栄養源とすることで増殖を促せる。そして、お花畑が好ましい状態であるかどうかを知るもっとも簡単な方法は、便を観察することとなる。色は黄色から黄色がかった褐色で、においがあっても臭くなく、柔らかいバナナ状が理想のようであり、逆に黒っぽい色で悪臭がある便は、お花畑のお手入れがうまくいっていない状態とされる。
1) https://koei-science.com/gut-flora.html (閲覧2019.1.21)
2) https://www.biofermin.co.jp/nyusankin/choflora/ (閲覧2019.1.21)
3) https://mainichi-nyuulife.com/article/info002.html (閲覧2019.1.21)
4) https://hc.kowa.co.jp/the-guard-kowa/intestinal-flora/what/ (閲覧2019.1.21)
5) Turnbaugh PJ, Ley RE, Mahowald MA, Magrini V, Mardis ER, Gordon JI: An obesity-associated gut microbiome with increased capacity for energy harvest. Nature 444: 1027-1031, 2007.
6) https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/food/e-05-003.html (閲覧2019.1.21)