No.1004

題名:多様性と均一性に関する試論
報告者:エゲンスキー

 本報告書は、基本的にNo.1003の続きであることを、ここで前もってことわりたい。

 多様性は英語でDiversity、その対語は英語でUniformityとされ1)、その訳語として、画一性、単様性、一様性などある2)。一方で、企業に関するマネジメントの多様性の問題において、その対となる語は、均一性という語が用いられる3)。そこで本報告書は、多様性と均一性との区分で以降、試論することをお許し願いたい。
 先の報告書にて、シャネルの腕時計のJ12をあげ、そこにあるコンセプトに、「ブラックとホワイトの存在」があった。そして、それは、「互いを打ち消すのではなく、補い高め合うため」であることも伝えている。もしこれが仮に「ブラック」のみ、あるいは、「ホワイト」のみとなると、そこには互いからの影響である、補い高め合いが生じず、多様性も生じない。ただ唯一の選択でもって、均一性が支配し、シャネルのJ12は、「ブラック」、「ホワイト」だけの腕時計となる。すると、その腕時計の魅力は半減する。違う状況に応じて様々な選び方が生まれるのが、多様性の魅力となる。シャネルはそれを黒と白の二項の世界で振り分けて、明確化させたとも言えようか。これは、何も腕時計だけの世界ではなく、身近な分かりやすい例を言えば、少なくともかつての車の色は、そのほとんどがホワイトであったが、現在は様々な色の車を選択することも可能となった。さらに、ホワイト以外の車にも乗る人が増えた。これも時代の変化に伴う生産の多様性であり、人の考え方が多様になった証拠でもあろう。このようにして、時代は少しずつであるが、多様性が認められる方向に変化している。日本企業に関しても、今後は、その多様性を認めるべく、ダイバーシティ・マネジメントを行っていくことが必要と言われる3)。ただし、そこには難しい問題もある。例えば、「均一性の高い組織と多様性のある組織のどちらが強いのですか?」4)との問題提起に関して見るだけでも、4つの回答があり、その回答一つ一つをみても、結論としてまとめるのが難しいのも分かる。一つは問題提起に関する反論もある。ただし、建設的な意見としての回答を筆者なりにまとめると、「組織を活性化させたいのなら、新しい風を入れるべきであるが、組織内では目的において団結する、あるいは、価値観は均一的にする必要がある」ということになろうか。逆に問えば、目的や価値観が一致せず、多様性だけを求めてしまうと、組織は活性化せず、衰退化することもやむを得ない。言わば分裂することになろうか。同じように、均一性だけでは、組織内の活性化がもたらされない。これもやがては衰退の一途をたどる。その多様性と均一性に関して、文献5)では思考の面から興味深い研究の例が掲載されている(ただし、均一性は同質性として記述)。その結論として、「我々(ヒト)は、自分と同じ背景や見かけの人から意見を得た時よりも、違う背景を持つ人から意見を得た時の方が、思考を刺激され、社会的に異なる人と意見の相違があった場合、通常よりも努力するよう刺激される。」5)というものである。人類の過去の歴史を見ても、結局は、やはり同じ議論を繰り返していた感がしないでもない。意外に人類にとって根深い多様性と均一性の問題である。

1) http://pluscolorn.sub.jp/e/hantai.php?id=678 (閲覧2018.12.10)
2) http://q.hatena.ne.jp/1325608006 (閲覧2018.12.10)
3) https://www.sc-abeam.com/sc/?p=1544 (閲覧2018.12.10)
4) https://oshiete.goo.ne.jp/qa/9035332.html (閲覧2018.12.10)
5) http://lgbt-marketing.jp/2017/03/22/howdiversitymakeyousmart/ (閲覧2018.12.10)

 
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