題名:愛に関する研究の概観で、もん外漢であっても、もんもん快感を得る
報告者:ダレナン
近年、心理学領域、特にポジティブ心理学(*)と呼ばれる分野において、重要な研究対象として、愛、がある。愛とは、通常に生活を営んでいる人であれば、ほぼほぼよく分かるであろう概念(実質的な問題でなく、存在そのもの)であるが、研究対象となると、その存在性を見出すことが難しい。例えば、脳内の快楽物質であるドーパミンなどの伝達物質や、愛情ホルモンとも呼ばれているオキシトシンなどの作用によって、その愛という感情が生じているであろうことは説明できる。しかしながら、分子細胞レベルで分割できない、総体的な人の作用としてもたらされる愛は、未だ十分に解明されていない。さらに、人の感情、心にとって、身近な存在であるにも関わらず、伝統的な領域の心理学者は、この存在を軽視する傾向があった、ともされている2)。しかしながら、先のポジティブ心理学においては、これを一つの肯定的な感情と見なして、愛の心理学的な実証研究がされつつある。その研究を概観したのが、羽鳥健司博士らによる文献2)である。その愛に関する研究の概観で、もん外観であっても、もんもん快感が得られる。愛ゆえのエクスタシーであろうか。そこで、本報告書では、文献2)の要所を押さえるべく、ここで、その研究のエクスタシーを共有したい。
愛の研究の分類は、6種類あるとされ、①情欲的または仲間的な愛、②愛着理論と愛、③進化論と愛、④愛の原型、⑤愛の三角関係、⑥愛のスタイル、となる。このキーワードでもいささかドーパミンが放出する傾向を示すが、この中でも、重要視され、文献2)の各所で論じられているのが、⑥の愛のスタイルとなる。その愛のスタイルに関して、初期の研究では4分類としていたが、現在ではこれを6種類に分類している。それが、①エロス(Eros)、②ルダス(Ludus)、③ストルゲ(Storge)、④プラグマ(Pragma)、⑤マニア(Mania)、⑥アガペー(Agape)、である2)。これらについて、内容を示すと、
①エロス:情欲的な愛。パートナーは理想化され、身体的な特徴が好まれ、強烈に求められる。
②ルダス:遊びとゲームの愛。短期間に複数のパートナーと同時進行で遊びの愛を楽しむ。
③ストルゲ:友情的な愛。パートナー同士で、人生の深い場所で絡み合っていると感じられる。
④プラグマ:実利的な愛。欲しいものによってパートナーを「ショッピング」する。
⑤マニア:嵐の情欲的な愛。死にもの狂いでパートナーを求める。
⑥アガペー:福祉的な愛。パートナーの福祉を最優先する隣人愛である。
となり2)、愛の態度もこの6種類で尺度化し、測定することができる。それが、愛の態度尺度となる2)。ちなみに、性別によってこの6種類の優位さが異なり、ルダスとプラグマとストルゲは、男性よりも女性の方が強く、アガペーは、女性よりも男性が強いとされる2)。ルダスに関しては、釈然としないが、そうらしい。また、プラグマとストルゲは、パートナーとの関係性の満足感に優位な影響を与えず、ルダスは、パートナーとの関係性の満足感に負の影響を与える2)。これは、何となく分かる。さらに、ルダスとアガペーの両方を有する人は、異性から理想的な性的魅力を持っていると見られ、ルダスのみを有する場合は、異性から性行為に関する性的魅力があると見られる。これも分かる。そして、幸福感は、エロスとストルゲと正の相関関係(ともに大となる)にあり、パートナーとの関係性の満足感とも正の相関関係にある。これも何となく分かった。
*: 個人や社会を繁栄させるような強みや長所を研究する心理学の一分野1)
1) https://ja.wikipedia.org/wiki/ポジティブ心理学 (閲覧2018.10.2)
2) 羽鳥健司, 他: 心理学領域における愛に関する研究の概観. 東京成徳大学臨床心理学研究 13: 150-156, 2013.