題名:電子レンジは、宇宙を飛ぶのか?
報告者:ログ
本報告書は、基本的にNo.341の続きであることを、ここで前もってことわりたい。
報告書のNo.341にて、電子レンジの仕組みと、その仕組みにはマイクロ波が欠かせないことに注目した。ここでは、そのマイクロ波にクローズアップし、今後の新たな宇宙航行への実現に際して、マイクロ波には大きなポテンシャルが潜んでいることについて記述したい。これを言い換えると、表題にある如く、「電子レンジは、(いつに日か)宇宙を飛ぶのか?」ということに他ならないかもしれない。
近年の宇宙開発については、報告書のNo.333で報告された通りである。一方で、宇宙空間における持続的な航行に関しては、一端地球圏外に移行すると、その後問題となるのが、如何にして持続的なエネルギーを供給しつつも、持続的な推進力を生み出すかにかかっている。宇宙船に搭載できるエネルギーの供給源である物質の搭載は、宇宙船の積載容量から限りがあるからである。そのため、地球圏外に移行できた宇宙船は、やはり宇宙空間からエネルギーを供給できることが、推進を生み出せる鍵となる。その一つが、太陽などの恒星からのエネルギーである。地球上でも太陽熱発電など、太陽からのエネルギーによって発電し、それによってエネルギーを生み出すことが出来る。しかしながら、宇宙空間ではその太陽からなどのエネルギーをどのように変換して、推進力とするのかについては、実は難しい問題でもある。変換する際の基となるエネルギー、例えば、地球圏外に脱出する際に搭載される液体水素などの燃料エネルギーを利用できることができれば、その限りではないが、前述したように、宇宙船に搭載できる燃料エネルギーの搭載には、限界がある。そのため、如何にこれを克服する(搭載した燃料を考えずに)かが、宇宙空間における持続的な航行の鍵となるのである。これを可能とする技術には、どのようなものがあるのであろうか?
この問に関して、近年、話題となっているのが、マイクロ波による宇宙空間の推進機構である。専門的には、EMドライブと言われ、マイクロ波によって推進の加速度となるエネルギーが生まれることが示唆されている。これについては、文献1), 2)に非常に詳しく示されているので、そちらを参照されたい。また、この文献にもあるように、実は、「なぜマイクロ波が、半永久的に宇宙船を航行できるのか?」というEMドライブの科学的な根拠が未だ全く証明されていない。しかしながら、宇宙空間において、太陽からなどのエネルギーに基づき、No.341にあるマグネトロンからのマイクロ波を容器内で反射させることによって宇宙船に推進力が得られるであろう可能性が非常に高いのが、このEMドライブである。すなわち、「電子レンジ(マイクロ波の利用)は、(やがて)宇宙を飛ぶ」ことが真実となり得る可能性が、このEMドライブには秘められている。
電子レンジの開発に至る技術は、先のNo.341でも報告した通りであるが、偶然の発見でもあった電子レンジのマイクロ波でも、現在では宇宙航行を「温める」大きな期待が寄せられていることは間違いない。単純ではあるが、EMドライブの実験装置も図のように大掛かりではなく、不思議と電子レンジの凄さとダブっていると感じる人も多いかもしれない。
図 EMドライブ1)
1) http://gigazine.net/news/20160421-emdrive/ (閲覧2016.11.10)
2) http://gigazine.net/news/20161109-emdrive-nasa-test/ (閲覧2016.11.10)