No.3018

題名:今日のお題は、「『ありがとう』の泥臭い複利運用術」
報告者:ダレナン

 かの天才物理学者、アルベルト・アインシュタインはこう言ったという。 「複利は人類による最大の発明だ。知っている人は複利で稼ぎ、知らない人は利息を払う」と。  なるほど、確かに投資の世界ではその通りなのだろう。だが、僕のような凡人にとって、お金の複利運用よりもはるかに重要で、かつ確実な投資先があることに最近気がついた。

 それが「感謝の複利運用」である。

 世の中には、生まれ持った圧倒的な才能や、息を吸うように努力ができるバケモノみたいな連中がいる。そういう奴らは、いわば「一括投資」でドカンと人生の富を築けるタイプだ。  ひるがえって、僕にはそんな飛び抜けた才能はない。徹夜でAIにプロンプトを打ち込んでも、結局は謎のクリーチャーが生成されて「なんだかな〜」と頭を抱えるのが関の山だ。そんな僕が、この過酷な世界で「運(ラッキー)」を掴むには、地道にコツコツとインデックス投資のように運を積み立てるしかないのである。

 その運を積み立てるための唯一の通貨が、「ありがとう」という言葉だ。

 誰かに親切にされたとき、美味しいコーヒーを飲んだとき、なんならAIがまともな文章を出力してくれたとき。すかさず「ありがとう」と念じ、あるいは口に出す。これが元本の投資だ。  正直に言おう。最初のうちは、利回りなんて微々たるものだ。「ありがとう」と100回言ったところで、得られる利息は「赤信号をギリギリで回避できた」とか、「スーパーの特売品の最後の1個を買えた」くらいの、ちっぽけな1円玉レベルの運でしかない。

 だが、ここからが「複利」の恐ろしいところだ。  昨日得たちっぽけな運の利息を、「ありがてぇ」とさらに感謝の元本に組み入れていく。これをバカみたいに、それこそ数年、数十年単位で泥臭く継続していくとどうなるか。  ある時を境に、雪だるま式に「運のインフレーション」が起こり始めるのだ。

 「なぜかあの人に助けてもらえる」「たまたま入った店で一生モノの出会いがある」「ダメ元でやったことが奇跡的にうまくいく」。  それは決して偶然じゃない。何年も前からコツコツと積み立ててきた「ありがとう」の利息が複利で膨れ上がり、とんでもない配当金となって人生に振り込まれている瞬間なのだ。

 才能がないなら、感謝に全ツッパするしかない。  綺麗事ではなく、これは極めて生存戦略的な、泥臭い「運の投資術」なのである。  というわけで、今日も今日とて、文句を言いながらも僕の代わりに働いてくれるPCの冷却ファンに「ありがとう」と呟いておくことにする。利回り0.01%の、未来への投資として。

 今日のお題は、「『ありがとう』の泥臭い複利運用術」

 
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