No.2980

題名:今日の音楽は、「八代亜紀の曲「舟唄」にある日本の心について」
報告者:ダレナン

八代亜紀の「舟唄」は、日本人の心情や美意識、そして昭和の情景を深く映し出した名曲です。この曲に込められた「日本の心」は、次のような要素に象徴されていると言えるでしょう。

1. 哀愁と情緒
「舟唄」は、ただの失恋歌ではなく、人生の寂しさや儚さを酒と港の風景に重ね合わせて歌っています。これは日本人の心に深く根づいた「もののあはれ」の精神、つまり無常観や情緒を大切にする感性が色濃く表れています。

例:「お酒はぬるめの燗がいい〜」という歌い出しからすでに、温もりと寂しさが共存する空気感が漂っています。

2. 庶民の暮らしと人情
この曲には、豪華さではなく、庶民的な酒場や港町といった場所が舞台として登場します。そこに生きる人々の哀しみや優しさが滲み出ており、日本の人情文化や下町の風情を想起させます。

「舟唄」は、きらびやかではないけれど、温かい。そうした価値観が日本の心に重なります。

3. 自然との調和
海、港、夜風など、自然の情景と人の感情が溶け合うように描かれているのもポイントです。日本の伝統的な歌には自然と心情が一体化する表現が多く、「舟唄」もその系譜にあります。

4. 演歌という表現形式
「舟唄」は典型的な演歌スタイルの曲であり、その歌唱法や旋律も日本人の情念を強く揺さぶります。独特のこぶし回しや、緩急あるメロディーは、聴く人の心の奥に訴えかける力があります。

結論:舟唄に込められた「日本の心」
「舟唄」に流れるのは、人生の哀歓に寄り添う優しさ、人と人のつながりを大事にする情、そして移ろう季節や風景の中で静かに感情を表現する美学です。

八代亜紀の艶やかな声と相まって、「舟唄」は日本人が心のどこかで持ち続けている郷愁を呼び覚ます名曲なのです。

 
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