No.2952

題名:今日のお題は、「Majid Jordanの曲「Gave Your Love Away」の新鮮さについて」
報告者:ダレナン

(No.2951の続き)
Majid Jordanの「Gave Your Love Away」は、R&Bとエレクトロポップの境界を滑らかに行き来するサウンドが印象的で、その“新鮮さ”は以下の点に集約されます。

1. 80年代を想起させつつも未来的な音像
「Gave Your Love Away」は、シンセベースのリズムやリバーブの効いたドラムサウンドで、明らかに80年代のディスコ〜ソウルの影響を受けています。しかし、そのレトロ感を単なる懐古主義にせず、洗練されたモダンなミキシングと透明感のあるボーカルでアップデートしているのが新鮮です。これは、レトロ・リバイバルが多い現代R&Bシーンの中でも特にバランス感覚に優れており、トロント・サウンド特有の“静かな情熱”を体現しています。

2. 控えめな感情表現の中に潜む切なさ
Majidのボーカルは、派手なビブラートや力強いシャウトを避けながらも、感情の起伏を巧みにコントロールすることで聴き手に共感を呼びます。これは一見クールで無機質なエレクトロサウンドの中に、非常に人間的な寂しさや後悔が浮かび上がってくるという、“感情のコントラスト”を作っており、その繊細な構造が新鮮です。

3. ミニマリズムの美学
トラック構成は非常にシンプルですが、無駄を削ぎ落とすことで各要素の存在感を際立たせています。特に、サビ前のビルドアップがほとんどなく、あえてフラットに展開することで、“感情の断絶”のようなテーマがより強調される作りになっているのも、一般的なポップ曲の構成とは異なるユニークな点です。

まとめ:時代感覚をずらすことで生まれる新しさ
「Gave Your Love Away」は、過去の音楽的遺産をリスペクトしながらも、それを現在的な文脈に再構成することで新鮮な感覚を生み出している楽曲です。特にMajid JordanのクールなアプローチとOvo Soundらしい洗練された音作りが融合し、静かながらも深く心に残る一曲となっています。

 
pdfをダウンロードする


地底たる謎の研究室のサイトでも、テキスト版をご確認いただけます。ここをクリックすると記事の題名でサイト内を容易に検索できます。



...その他の研究報告書もどうぞ