名:今日のお題は、「砂浜でのないしょ♡」
報告者:ダレナン
(No.2815の続き)
家から海までは車でちょうど50分ほどの距離だった。それだけの距離だったから、僕たちの休日のデートは、お気に入りのお店で食事を済ませた後に、海へのドライブに足を向けるのが常だった。
その50分間のドライブ、そして増えゆくお互いの音楽プレイリスト、仲良く似た歌声。海が見えてくると、彼女は「おっ」と声をあげる。その声に対して、僕もなぜか「おう」と対応するのが止められない。
そんな夏の終わりが近づいたある50分の旅の終着。辺りを見回して、人少なめの白い砂浜に僕たちは踏みこんだ。空を見上げると、黄金に光る海をバックに、見事なほど汚れない青が広がっていた。
彼女は、いつのまにか足元の砂にしゃがみ込み、指を使って何かを描きはじめていた。
「なに書いてるの?」
僕の言葉に彼女は一瞬目をまるくした後、いたずらっぽく笑う。
「ないしょ♡」
実はその瞬間、僕の中に、なんとなくこの人とずっと一緒にいたいなぁという気持ちがかたまっていた。
次の休日、一緒に食事をした後、いつものように海へ向かう。車内で、僕の口からは、気付けば自然として、この人とずっといたい、結婚したいという言葉が流れ出ていた。
彼女は、僕を見てふわっと笑うと、先日に砂浜に書いていたなにかと同じように「うん♥」と言った。
今日のお題は、「砂浜でのないしょ♡」