No.2710

題名:今日のお題は、「現実と夢の狭間」
報告者:ダレナン

(No.2709の続き)
 朝、目が覚めた瞬間、僕の勘が間違っていなかったことを確信する。君はとてもきれいで、とても輝いていた。そして僕の胸の中は、君への想いで張り裂けそうだった。まるで夢の中にいるような感覚に包まれながら、僕は願った。
 ――もしこれが夢だったら、どうか覚めないでほしい。
 僕はそっと口を開き、君に問いかける。
「これは夢なのかな?」
 君は微笑んで、静かに答えた。
「夢じゃないよ。だってここに私がいるじゃない」
「本当かい?」
「本当よ」
 君の声はあまりにも優しく、あまりにも温かかった。その言葉が、僕の心にそっと降り積もる。信じてもいいのだろうか? そんな疑問が頭をかすめるが、僕は君の言葉を信じたいと思った。
 しかし、次の瞬間、僕は目を覚ました。
 静まり返った部屋の中に、君の姿はなかった。代わりに、ほのかに漂うプワゾンの香りだけが残っている。それが君がここにいた証なのか、それともただの幻だったのか、僕にはわからない。
 僕は目を閉じ、深く息を吸い込んだ。甘く、そしてどこか切ない香りが胸に広がる。
 ――君は、本当にここにいたのだろうか?
 それとも、すべてはただの夢だったのだろうか?
 答えを探すように、僕はそっと手を伸ばしてみる。けれど、そこには何もなかった。ただ、心の奥底に残る温もりだけが、現実と夢の狭間で揺れていた。

今日のお題は、「現実と夢の狭間」

 
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