No.2708

題名:今日のお題は、「木漏れ日の午後」
報告者:ダレナン

(No.2707の続き)
柔らかな陽射しがカーテンの隙間から入り込み、リビングに温かな光を落としていた。時計の針は午後二時を指している。静かな午後。僕はマグカップを片手にソファに目を向けた。

そこには、妻が静かに眠っている。ソファの背もたれに寄りかかるように、膝を軽く折り曲げ、小さく呼吸を繰り返している。彼女の髪には、窓から差し込む木漏れ日がやわらかに揺れていた。

外では風が梢を揺らし、木々のざわめきが心地よいBGMのように聞こえる。その音に混じって、小さな鳥のさえずりも響いていた。僕は何もせず、ただこの瞬間を焼き付けるように、妻の寝顔を見つめる。

頬に落ちる光が、彼女をより美しく見せていた。少し開いた唇、規則正しい寝息。日々の忙しさの中で見せる表情とは違い、無防備で穏やかな姿に、胸が満たされる。

「幸せだな」

自然とそんな言葉が心に浮かぶ。この瞬間を、永遠に閉じ込めておきたい。そう思いながら、僕はそっと掛け布団を手に取り、妻にかけた。彼女が微かに身じろぎする。

まるで「ありがとう」と言っているかのように。

僕は静かに微笑むと、もう一度、目の前の愛おしい光景を心に刻んだ。

今日のお題は、「木漏れ日の午後」

 
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