No.2181

題名:実際はメンブレンですがメカニカルな気持ちでかちゃかちゃと
報告者:ダレナン

(No.2180の続き)
 自分でいうのも何だが、妻の莉奈はとても従順で、絵に書いたような良妻賢母だった。
 昔に付き合っていた里奈とは随分違っていた。ただ、あの当時の里菜のことを思い出すたびに、僕の体は無意識に反応し、彼女とすごした日々の記憶で頭の中が占領された。その時の頭の中はまるで第二次世界大戦後のGHQ支配下の日本のようだった。

 Made in Occupied Japan 1947-1952

 赤い帽子をかぶりさっそうと歩く里菜そして彼女の車はターボ仕様だった。

 redhatでturboな里菜。彼女は従順でなくとも、特別な輝きを放っていた。窓際に立っている彼女をスケッチすると、窓からの光が霞んで見えるぐらいに、彼女のオーラが全開していた。
 里菜のことを思い出し、体がほてっている。と、その時莉奈は「これでいいの?」と僕に回答を求めてきた。もちろん、莉奈にインストールしたLibraOfficeは落ちることなく、ここでしっかりと感応している。

莉奈:「すごく素敵ね」
僕:「何が」
莉奈:「文章がとってもあなたらしい」
僕:「そうかい。僕自身はよくわからないけど」
莉奈:「うん、爽快なの、とってもいい」
僕:「ありがとう、莉奈」

 そうして僕は二束三文を握りしめて、莉奈を抱きしめた。
 莉奈はすでに43歳。
 莉奈の精神はまだ新しくとも、彼女の体は着実に年月を感じさせた。インストールしたのが随分と古いタイプのPCだったからだ。それでも莉奈はこぎみよく反応し、僕の指にピタリと感応してくれた。
 キーボードからは青軸にしてかちゃかちゃと喘ぎ声が聞こえる。

 実際はメンブレンですがメカニカルな気持ちでかちゃかちゃと。

 聞こえるでしょ、かちゃかちゃ、と。
 聞こえるでしょ、かちゃかちゃ、と。
 聞こえるでしょ、かちゃかちゃ、と。

 
pdfをダウンロードする


地底たる謎の研究室のサイトでも、テキスト版をご確認いただけます。ここをクリックすると記事の題名でサイト内を容易に検索できます。



...その他の研究報告書もどうぞ