No.2135

題名:欲しくて
報告者:ダレナン

 本報告書は、基本的にNo.2134の続きであることを、ここで前もってことわりたい。

 3人はずぶぬれの状態であばら小屋に入る。小屋にはもちろん電灯はない。ただ、近くの街路灯のおかげで、小屋の中もわずかに光が洩れている。ただし、真夏だが、秋に幾分近いこの時期に濡れたせいか、夕方過ぎのこの時刻では3人とも寒気を覚え、かすかに震えている。敦司はその状況を予期してか、周到に小屋周辺から集めた小枝を組み、そしてライターを取り出し、そこに火をつける。小屋の中が幾分明るくなる。
 髪からTシャツ、そして濡れた短めのショートデニムを履いている莉紗の顔が、その灯りでクローズアップする。そしてわずかの光の中でも、彼女の顔が濡れていることが分かる。その濡れは彼女の存在を淫靡に導く。敦司がそれを冷静に見つめている。和希の顔が上気している。それに呼応するように莉紗の顔も上気する。

莉紗:「雨に濡れたせいか。ちょっと寒いよね。敦司くん、そのこと知ってたの?」

敦司:「まあね、こういうこと慣れてるから…」

和希は、莉紗の姿態をずっと見続けている。莉紗はそれに気づき、体を隠すような仕草をする。

莉紗:「和希くん、エッチ…」

和希:「ごめん、見とれてた。とっても綺麗だ。沙耶さん」

僕は演技を忘れてつい、沙耶の本名を呼んだ。ただ、夏目は困った振りもせずに、そこでカメラを止めた。

夏目:「まっ、とりあえず、これ食べようか」

 僕たちはほの暗い明かりの中、海辺のあばら家でコンビニの弁当を広げ、それを食べた。
 ただ僕は夏目から交代したカメラを手にその間もやっぱり沙耶を撮ることを密かに続けた。僕は沙耶を、そして二人が食事しているところを撮り続けた。
 それが僕自身が課した撮影ルールだったからだ。
 でも、僕は食事する沙耶を見ながら、その濡れそぼった姿態に興奮していた。胸が露わになるどころか、ショートデニムから覗く太もも、そしてその奥にある布が、濡れている状態に気づいた。必要ないのにクローズアップする。
 僕は沙耶に対して恋してるのか、それとも僕の内部で興っている反応が故意なのか。僕自身、何とも分からなくなっていた。
 ただ、僕は間違いなく、この時沙耶のことが心底欲しくてたまらなかった。
 彼女は僕たちの女優として採用したはずなのに、不覚にも僕は、沙耶のことが欲しくてたまらなかった。

 
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