No.2100

題名:しょーべんを漏らす
報告者:ダレナン

 本報告書は、基本的にNo.2099の続きであることを、ここで前もってことわりたい。

 僕の下半身に浸されている尿が臭いを放ってきた。その尿の臭いは僕にあの時のことを思い出させた。

 小学校の低学年だったろうか。僕は自転車で2輪走行になれてきた休みのある日の朝、近所の路地を走っていた。その時、普段は通らないその路地に急に車が現れ、僕はよけようとした。が、車は自転車とぶつかった。ぶつかった自転車は、車輪が曲がり、ハンドルも変な方向に向いていた。ただ、自転車の壊れた度合いに比べて、僕は膝と頭部の一部の怪我だけですんだ。運転手もほっとしていた。なんともないはずだったが、その日の昼に急に吐き気がして吐いた。それを見て両親は僕を病院に連れて行った。
 病院では頭部の検査をした。変な機械の中に入って、僕の頭の中をくまなく調べた。別段異常はなかったようだった。両親は安心して僕を家に連れ帰った。
 その次の日、僕は学校の教室でしょーべんを漏らした。今までこんなことなかったのに、しょーべんが出てしまった。教室内のそこら中に僕の尿の臭いがした。僕はみんなにしょーべんたれとののしられ、すぐさま先生は僕を保健室に連れていった。
 その後、しばらくして母親が学校まで僕を迎えに来た。
 母親は保健室の先生に昨日の事故のことを話していた。すこし休んだ方がよいと判断されたようで、僕はその後1週間ばかり学校を休んだはずだ。
 家に居た時もなぜかしょーべんを漏らした。母親は僕にオムツをあて、病院に再び連れて行った。
 病院でまたもあの頭部の検査機械の中に入れられ、検査後に母親と僕は医師から説明を受けたが、やっぱり頭部にはどこにも異常はないとのことだった。ただ、しょーべんの臭いがずっと鼻についていた。
 その日は天気がよかったため、検査が終わると母親は僕を連れ立って病院周りの公園に連れて行ってくれた。公園ではじぃ、ばぁばかりで、僕とおない年の子供は誰一人もいなかった。時折、会話が聞こえるのでそちらを振り向くとネコ同士が会話していた。どうやら、あそこの魚屋は魚をくれるとか、あそこの魚屋はワイらを追い出すとか、そういったたぐいの会話だった。
 ネコの会話が分かる…?

 散歩中のイヌもいた。そのイヌは、うんこしてーといって、公園の一角でうんこしていた。飼い主はダメでしょこんなとこでしちゃ、とイヌをしかりつけていたが、そのイヌはうるせーばばぁだな、うんこよりももっといい飯を食わせろや、と怒って、けっ、たっぷりうんこしてやるぜという言葉と裏腹に、しっぽふればええんやろ、ばばぁと言いながら飼い主に愛想を振りまいていた。
 イヌの言葉が分かる…?

 2、3日して僕はしょーべんを漏らすこともなくなった。母親も安心してオムツを外すようになった。自転車は壊れたままだったが、僕は次第にしょーべんの臭いも感じなくなり、もとの世界に戻ってゆく感じがした。

 
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