題名:宿命的運命論
報告者:ダレナン
本報告書は、基本的に No.2051の続きであることを、ここで前もってことわりたい。
僕は動き始めたベルトコンベアに、あるいはベルトコンベアが動き始めたことに、ふと人生の悲哀を重ねた。
ベルトコンベアは楕円を描いて荷物を運ぶ。その荷物が仮にDNAが入った入れ子だとしたら、ベルトコンベアはその入れ子を淡々と運ぶ。そして一部はすぐに取り去られ、なぜか一部は再びトンネルに戻る。そうして巡回しながら、DNAの入れ子はいずこへと去る。
繰り返し、繰り返し起こるその光景は、悠久なる人類の営みのようでもあった。
でも、例え、その営みがベルトコンベアによって繰り返し起こっていることだとしても、僕がつないでいるその手の先のエヴァンジェリンは、僕の人生に限りなく特別な存在になっていた。だからこそ、僕はなおもその手をぎゅっと握りしめた。
(ただの入れ子じゃない。僕たち二人は”宿命的運命論”に運ばれてるんだ。宿命的運命論って?)
その時だった。ベルトコンベアの流れに沿って、若干ベルトコンベアから浮遊して日清焼きそばUFOに乗っている子ネコが見えた。その妙な光景に目を凝らした。エヴァンジェリンの方を見ると、彼女は不思議がってはいない。どうやら僕以外は、誰もその光景が見えないようだった。周りの人は淡々と荷物を選別し、自分の荷物が来たらそれを抱え、その場を離れてゆく。
「ねぇ、エヴァンジェリン。変なこと聞くかもしれないけれど、あそこに日清焼きそばUFOの上に乗った浮遊している妙な子ネコが見える?」
エヴァンジェリンは「いいえ、見えないけど。どうしたの?」
「いや、なんでもない。たぶん、僕の空目目(そらめめ)だった」
そこにおいて、彼は(にゃおーん)と伝えた。空目目(そらめめ)でない。それは、あいさつ、し、それとも…。あれは、間違いない。ユメセカイに現れた、あの子ネコのりどるだ。
(にゃおーん、それは、”しゅくめいてきうんめいろん”、にゃんだにゃん)、(もしかして、りどる…?)、(そうだにゃん。ちょっとすまほがきゅうくつで、ぬけてきたにゃん。ちみ、どう、こののりもの。いけてる?)
そして僕にその乗り物を見せてくれた。ベルトコンベアを覗き込んでいるしぐさの僕を見て、エヴァンジェリンは不思議がっていた。そこで僕はりどるに頼んで、彼女にも少し姿が見えるように頼んだ。(いいにゃん)
エヴァンジェリンはりどるを見て、目を見開いて驚いていた。
「か・かれが、りどる・なの?」
「そうみたい」
なんでもりどるの話によれば、その乗り物は表向きに日清焼きそばUFOと書かれているも、それは小型のUFOで、アダムスキー型(図)を日清焼きそば型にチューンナップしたものらしかった。
「ということは、りどるは宇宙人?」
「まっ、そうともいうにゃん」
図1)
1) https://www.pinterest.jp/pin/777433954406286635/ (閲覧2021.6.4)