No.1961

題名:ソロヒヨコ・イン・ザ・シェルター・オブ・ヒヨコキャンプ
報告者:ダレナン

 本報告書は、基本的に No.1960の続きであることを、ここで前もってことわりたい。

 そのピーター・ウォード著「ヒヨコの羽」は、とてもお腹の子どもに語りかけるような本ではなかった。傍から少し聞いていただけでもよく理解できない。そのうちシズコは瞼を閉じ始め、うすらうすらと眠りに入っているのが分かった。手からバサッとその本が落ち、その様子を見て僕は、シズコに枕と毛布を与えることにした。「眠たくなっちゃった…」という間に、すでに彼女は眠っていた。
僕は本を拾い上げて、中を確認して先ほどの続きの章を追った。

{…「ヒヨコの羽」現象である。モンスター・イン・ザ・クローゼットのモンスターはクローゼットがなければ、衰弱し、死んでしまう。すなわち、私がヒラメいたのはこういうことだ。

タマゴがなければ、ヒヨコは死んでしまう。

なんてこった。羽は羽毛にして、それ、うもう。うもう…、産もう。やっぱり、タマゴからうもう、うまねばなるまい。そこにはヒヨコの羽がある。その羽のある発想は、私にしかできなかったであろう。私の頭の中の飛躍がこうしてふ化したのだ。そして、さらに、吹かしたのだ。根拠のない発想を….。たぶん正しい発想はこうに違いない。

Which Came First – The Chicken or the Egg?

彼らもなかなかやりおるわい}。なんだか変な本だ。でも、続きがまだあった…。{…やりおるわい。しかし、彼らは根本的なことを忘れておる。それは「ヒヨコの羽」だ。まるで、それは世界へと羽ばたく空港のような羽だ。だからこそ、その羽を守るためには、産もうとするニワトリは、ヒヨコの羽に膜を覆った。幕引きじゃない。それは、幕の内だ。弁当だ。そう、他の猛者からみれば、羽に覆われたヒヨコは、弁当に見えたに違いない。弱肉強食の世界。ヒヨコは焼肉定食にはなりたくない。そう決心して、ニワトリに交信した。「もっとその膜を固くしてくれと。そうでないと、ソロのヒヨコキャンプができないじゃないか」、と。

ソロのヒヨコキャンプ?

「そうだ、どんなによい寝袋、それは羽毛の純度が高くても、それを守るべくシェルター(テント)がなければならない。そうしないとソロでのヒヨコキャンプは完成しないのだ。分かってくれたまえ、ニワトリ殿。そうしないと我々は幕の内(ない)野宿を強いられる。幕の内のはつらいでー、しかし」。そうして、ニワトリはヒヨコの意志をクミちゃんし、決心した。「よっしゃ、ヒヨコ殿。貴殿のためにええシェルターこさえたる。堅い、堅いやつや」。やがてニワトリは段々と膜を固くして、ソロヒヨコ・イン・ザ・シェルター・オブ・ヒヨコキャンプに備えた}

 
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