No.1779

題名:ケーキがある
報告者:ダレナン

 本報告書は、基本的にNo.1778の続きであることを、ここで前もってことわりたい。

 ガチャっと手錠。どうやら逮捕。そのまま、Moon Town自警団と書かれてある宇宙船内に、僕は連れていかれた。
 宇宙船の中には何やらいろいろな大きな計器が蠢いていた。そして、手錠を引っ張る僕を連れている宇宙人…?の他には、2人の宇宙人物が、その人と同じ黒づくめの宇宙服の格好で椅子に座ってその計器を操作していた。なぜか宇宙船の真ん中にあるテーブルには月の世界の地図だけでなく、ケーキがどんと置かれてあった。計器とケーキ。なんだか羽振りがよさそうな…。それは景気か…。
 つまるところ、僕の着陸船よりもかなりゴージャスな内部で、自分の着陸船が一世代前のもののように思えた。ケーキがあるということは、この船には冷蔵機能もあるのかもしれない。

真っ黒な宇宙服を着た人:「君、そこに座りたまえ」

 そうして、テーブルの周りを囲んでいる椅子に座らされた。その人は僕の横に座ると、矢継ぎ早に質問してきた。

真っ黒な宇宙服を着た人:「名前は?」

僕:「百智信吉」

真っ黒な宇宙服を着た人:「年齢は?」

僕:「二十歳です」

真っ黒な宇宙服を着た人:「職業は?」

僕:「一応、モモチ・コーポレーションの若頭です」

真っ黒な宇宙服を着た人:「なるほどね…。じゃぁ、月に来た目的は」

僕:「こぶちゃんと月の砂漠を歩くためです」

真っ黒な宇宙服を着た人:「こぶちゃん…とは…?」

僕:「ラクダです」

 
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