No.1592

題名:ZX-10Rの系譜
報告者:ダレナン

 本報告書は、基本的にNo.1591の続きであることを、ここで前もってことわりたい。

 琉花の友達である晴美さんに会うのは、今回が初めてではなかった。前に、何度か、確か2回ほどであろうか、琉花が、この地域に必要な調査をしている際に、会釈したことがある。ただし、会話とすれば、ひとことか、ふたことかを話しただけに過ぎなかった。
 店に着くと、晴美さんが先に到着していた(No.1591)。お互いあまり面識のない状態での「こんにちは」で、「始めまして」に近いものであった。

「琉花が遅れるそうなので、先におしゃべりしてて、とのことです」

「えっ、琉花遅れるの?」

「はい、そうです」

 とりあえず二人で飲み物を頼んだ。もちろん20歳以上のあれを頼んだ。
 母がスナックに勤めているために、その手の女性に対しては、僕は普段通りにしゃべることができる。そこは、慣れている。でも、普通の、しかも、地域の調査をしているようなアカデミックというのだろうか、その手の女性には今まで縁がなかった分、妙に緊張していた。
 僕は中学、高校と荒れていたために、今でもろくに学がない。漁の、特にBlack Diamondのこととバイクのことぐらいだろう、知識として自慢できるのは…。
 先日も、僕の愛車で琉花と旅行に行った。Kawasaki ZX-10Rで。中古で手に入れたものの、バックボーンフレームとメインシャフトを押し下げたエンジンに、MotoGP直系技術である倍速ジェネレーターを搭載したこいつは1)、ZX-10Rの系譜(図)の中でも、かなり異質で、「荒削りで初心者には難しい」とか、Kawasaki

図 ZX-10Rの系譜1)

も「分かる人だけ乗ってくれれば良い」とも揶揄されたタイプだ1)。だいぶ痛んできてはいるが、今でもよい相棒だった。そうだな、こんな僕は、理知そうな晴美さんと何を話せばよいのか…。

1) https://bike-lineage.org/kawasaki/zx-10r/zx1000c.html (閲覧2020.1.30)

 
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