No.1559

題名:流々茶を手にもって
報告者:ダレナン

 本報告書は、基本的にNo.1558の続きであることを、ここで前もってことわりたい。

 無為な日々を過ごし、赤紫のあの液体が口元から漂うようになった期間(No.1556)、太陽の光に当たるとなぜか肌がじりじりとなり、そのためもあって、ここ数年はまったく陽のあたる時間帯に外には出ていなかった。ただ、叔母さんからの手紙に同封されていた十字架のネックレスを身につけると(No.1557)、なんとなく体調もよくしてくれる気配が感じられた。

(太陽に当たっても大丈夫かもしれない)。

そこで、Nakajo家のおみやげの件もあり(No.1558)、午後に街に出向いた。
 じりじりしない。なぜか赤紫のあの液体の感じもすっかりなくなった。執事としての証でもある十字架のネックレスの効果は絶大だった。

(ところで、おみやげはどうしよう…)

 そうして、ふと立ち寄った店に、{持ち帰りもできます。}、とのことでおでんが売られていた。おでん、いいかもしれない。そこでNakajo家のおみやげとして、おでんを片手に、Nakajo家を訪れた。

ピンポーン

「はいはい、どなた…かしら…」

「Gaeele家から来ました、Eiigo Gaeeleというものです。このたび、中条あやみお嬢さまの執事として任命され、イギリスからやってまいりました。叔母のNatalie Gaeeleから、執事の件ですでにお聞きのことと存じますが、おじゃましてよろしいでしょうか?」

図 中条あやみお嬢さま1)

「はいはい。お待ちしておりましたよ。どうぞ、中に入ってください」

 扉が開いた。あやみお嬢さまのお母様と思しき人の後ろには、流々茶を手にもって、凛として立っている、中条あやみお嬢さまがいた。

1) https://www.pinterest.jp/pin/630433647814719302/ (閲覧2020.1.8)

 
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