No.1548

題名:焼ける僕
報告者:ダレナン

 本報告書は、基本的にNo.1547の続きであることを、ここで前もってことわりたい。

 叔母さんからの手紙によって、僕は1年でイギリスに帰らなければならない理由はなくなった。だから、叔母さん言う通りで、ここ猫ラーメンで気が済むまで修行できそうだった(No.1547)。それと同時に、叔母の手紙には、「きっと我がGaeele家の血筋を穏やかにする能力がある」女性がそばにいる、とのこと。タンちゃんのことだろうか。そういえば、タンちゃんのザ・ニンニク焼餃子を店で出すようになってから、あの女性の一連の首筋を噛まれる殺人事件はなくなったように思う。ここのところ、ニュースでも見なくなった。タンちゃんのザ・ニンニク焼餃子と事件との間に関係があるのであろうか。
 一方で、僕のカニチャーハンは幻に終わった(No.1545)。が、猫ラーメンスペシャルとザ・ニンニク焼餃子の二本柱で、猫ラーメンには新たな顧客が拡大できたようだった。客層も以前以上にバラエティに富み、必ずといっていいほど、どの客も猫ラーメンスペシャルとザ・ニンニク焼餃子を注文するようになった。セット。まるでセットメニューだった。おやっさんとタンちゃんの料理がセット。悔しいことに、おやっさんはラーメン作り、タンちゃんは餃子作り、に専念し、そのことから、僕はといえば、厨房よりも接客業が多くなった。それでも、店の開店前の仕込みや閉店後の料理の勉強に、僕は余念がなかった。今は、少しでも、おやっさんとタンちゃんのレベルにまでは近づかなければならない、その一心であった。そのうちに、タンちゃんからも料理の極意を教えてもらううちに、叔母の言葉もあって、タンちゃんにラブするようになった。いっつも、厨房でかっこよく餃子を焼いているタンちゃんに、めらめらと焼けたのだ(図)。タンちゃんには彼氏がいるのだろうか、それとも、特別な人がいるのだろうか、と。ある時、料理を教えてもらっている最中に、何気なく聞いた。

図 焼ける僕1)

「タンちゃんってさー。今さー、特別な人っているの?」

タンちゃん:「いるよ…」

「いる…、誰? それって誰?」

タンちゃん:「やっぱ爸爸(bàba:中国語で父さんのこと)ね。父さんには感謝しているの。それと…」

「それと…、って、いったい誰?」

タンちゃん:「猫ラーメンのおじさんかな。ここで務めていて、餃子も任せられて、今、めっちゃ楽しいもん」

「ふぉーん。しょうなの。しょうなのねー」

タンちゃん:「ガエールくん。いつもと様子が違って変だけど、大丈夫なの?」

「だいじょおうぶぅー」

タンちゃん:「変な、ガエールくん」

1) https://www.ac-illust.com/main/related.php?id=1471909 (閲覧2020.1.4)

 
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