No.220

題名:人の心理の思い込みと客観性 -クッキーの事例からの考察-
報告者:ダレナン

 本報告書は、基本的にNo.219の続きであることを、ここで前もってことわりたい。

 先のNo.218にて、現在の人工知能に関して記述するともに、No.219にて、情報の裏にあるクッキーの技術に関して検討した。ここでは、そのクッキーに関連する内容であるが、情報技術のクッキーではなく、焼き菓子のクッキーから人の心理について考察したい。
 No.219を読んだ方ならおわかりであろうが、コペンハーゲンにはLeckerbaerと言うペストリーショップ(日本語では洋菓子屋に相当)が販売するクッキーがある。そのクッキーを再度図1に示す。「どれも美味しそうですね」と問うと、「そうですね」と即答できる。その通り、このような素敵なクッキーは、美味しいに決まっている。21個食べてみたい。
 と、ここで、問題である。この美味しそうなクッキーは何種類か?
この問いを元に、図1をよく見ると、実は、種類は、8種類であることが分かるであろうか。6種類×3個ずつ、1種類×2個、1種類×1個の合計21個のクッキーである。決して3×7の21種類ある訳ではない。すべて種類が違うのでは、一瞬思ってしまうとこに、思い込みなるバイアス(考えの偏り)が生じている。これをすぐに8種類と答えられた人は、客観性(物事を冷静に分析する)に優れた人であろう。当方は、

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図1 Leckerbaerのクッキー1)

クッキーの美味しそうな姿につい意識が奪われ、すぐに8種類であることに気付かなかった。図2にこのクッキーのパッケージを示す。こちらでは、4×2の8種類であることがよく分かる。
 このようにして、人の心理には思い込みが強く、心理学の研究においても、このような思い込みを排除することが重要視されている。しかしながら、近年の報告で、心理学研究の再現性(同じ実験条件で、同じ結果が得られること)にも疑問視を呈する意見が報告されている3)。それによると、100論文のうち、結論を支持する結果が得られたのは、全体の36%に留まった。この結果が意味するところは、如何に人の心理を研究することには、その背後に思い込みのバイアスが存在しているのかを表している。

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図2 Leckerbaerのクッキーのパッケージ2)

 少なくとも、人工知能にはこのような人の心理に相当する思い込みのバイアスは当分ないであろう。プログラミング上でバグがあれば(No.188を参照)、あるいは、ノイズが混入すれば(No.130を参照)、それが人工知能にバイアスをもたらす可能性もある。しかしながら、今の人工知能は図1の画像認識から、「8シュルイ デス。マチガイ ナイデス」と即答できるに違いない。

1) http://theartofplating.com/news/gourmet-cookies-from-leckerbaer-copenhagen/ (閲覧2016.3.15)
2) http://www.leckerbaer.dk/ (閲覧2016.3.15)
3) Open Science Collaboration: Estimating the reproducibility of psychological science. Science 349(6251), aac4716, 2015.

 
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